Spirit in Physics · Chapter 1
Chapter 01 — 配属の日 / Assignment Day
The Seed / Walk to Work / The Pod / The Touch / The Question


今朝も、運河は青い。
ちゃぷ……

先週、国家試験に受かった。ゴーストハッカー、認定。今日、初めて事務所に行く。

東京は水とともに生まれ変わった。ここでは何も、かつてのふりをしていない。

よし。行こう。


タマキ・フェルメール?
はい。
楓です。ここでの先輩を務めます。入って。

事務所は古い木と運河の水の匂いがする。すぐに好きになった。

肩の鳥がわたしを見ている。楓さんはそれに触れない。
ここがあなたの机。必要なものはだいたい揃ってるわ。

これがあなたのゴーストエージェント。認定ハッカー全員に配属される標準装備よ。

ツールキット。
解析、データ処理、通信中継を担当する。あなたのツールキットよ。

まず診断を走らせて。スペックシートはここ。問題があれば起動前に報告。

他の新人たちはスペックを確認している。それが普通。

楓さんの鳥には名前がなかった。あったのかもしれないけど、名前というよりコールサインみたいだった。ポッドを見る。中に何かがいる。眠っている。

なんでこうするのか、わからない。でも、いい感じがする。
ぽぅ

……あたたかい。

起動。通常手順。わたしは……サポートエージェント。

誰かが、わたしを見ている。

[ゴーストエージェント IAM-Ver.N 配属完了。オペレーター登録待機中。]
りん……

やあ。